2001年版「装備」



低山日帰り用基本装備


さて本を読み終わり、"よしやってみるか!" と思ったならば、  すぐさまお道具をそろえましょう。とは言え、はじめからすべてをそろえる必要はありません。 夏の10,000フィート未満級日帰り登山ぐらいなら(ヨセミテ渓谷のハーフドーム,ノースドーム, クラウズレスト等)以下のものぐらいで十分です。

パック: 水、行動食、小物、カメラなどが入る2,000キュービックインチ程度のサイズのものをお勧めします。 いろいろなメーカーの製品がありますが。この程度の山登りは荷物が軽くてすむのでどれを買っても 大差はない、と言いたいところですが、これがなかなか究極のパックを探すのは難しい。 例えば背中にあたるパッドの出来は快適さに大きく影響します。サイドコンプレッションベルトは 荷物の安定化に大きな影響を与えますので、ついているのが望ましいです。 肩ベルトの出来の良し悪しも5−6時間後に影響が出てきます。 横に小物入れがついていると水筒、小物の出し入れに便利です。
最近目立っているのは、ハイドレーションパックと呼ばれる、2-3リッターの水入れと 飲み管のついたあれです。ただ、なかなか水を吸うのが大変です。あとファニーパックという ウエストバッグの大き目のものを使う人もいます。 背中が蒸れなくてよいのですが、代わりに腰の周りが蒸れます (もっともシエラの空気は乾燥しているので早く乾きます)。 あとファニーパックのベルトの質には気をつけましょう。 細すぎるものは5時間も歩くと腰に食い込んできて痛いです。
ハイキングシューズ: まずいわゆる登山靴は要りません、軽量のハイキングシューズがベストです。トラクションのよい 靴底のものを買いましょう。靴はよく履き慣らしておきましょう。あまり靴底が柔らかいと 石の上が歩きづらいし疲れるものです。靴底のパターンも大事です。テニスシューズのように 平らだと滑って危険です。
ウインドブレーカーは朝の寒いとき、ぐらいしか使いません。なんせ朝も10時を過ぎると暑い! 正しい登山者なら 雨具などを持つのでしょうが、日帰りで雨に降られたことはないので手を抜いています(ただし 夏の8,000フィート日帰りのときだけ) ナイロン製の薄いものから、ゴアアクテイベント製といろいろ出回っていますが、 アクテイベント物はどうも中途半端な気がします。ややかさばるし、少し重い、 おまけに寒いときに、あまり保温効果が期待できません。
服装:多くのハイカーはT-シャツに短パンでどこどこぜいぜいと登っています。 T-シャツはぬれない限り快適です。短パンは日焼け、蚊、そして朝の寒さを 気にしなければ ベストです。私らは一時テックウエアにこっていましたが 以下の理由で最近はやめつつあります。 その1、服がすぐ臭くなる。その2、低山では暑い。 というわけで、いろいろ試したところ、今は麻素材の服を愛用しています。 パンツはコンバーチブルのものが便利です。暑ければ短パン、寒ければスラックスに早変わり。
帽子、日よけ、サングラス :シエラの夏の日ざしは強力です。ベースボールキャップ、バンダナ、麦藁帽子等 いろいろありますが お勧めは襟足、耳を被い隠すくらいのベールがついたつばの長い ベースボールキャップです。サングラスも必需品です。 軽くて目をしっかり守るものを使いましょう。
日焼け止め、リツプクリーム、蚊よけクリーム :SPF30なら二時間おきに塗り直しましょう。 実はシエラの大敵は日ざしよりも蚊です。6-8月の間が繁殖期です。低山部にはあまりいませんが。 一度全くきかない蚊よけクリームを持っていき、それはそれは大変な目にあったことがありました。 DEET(除虫菊のような成分?)入りであることが大事です。蚊よけクリーム+日焼け止めクリームという 便利なものもありますが、なかなか便利で使い心地もよかったです。
蚊よけネット(オプショナル) : 蚊よけネットは日よけになり、なおかつ 蚊よけクリームを使わずにすむという利点があります。しかし景色を常に蚊帳の中から 観るようになるので、嫌がる人も多いかもしれません。また少し息苦しいのが難点。
その他: 飲み物は軽量化のためペットボトルに移しかえておきましょう。 食料はサンドイッチ、パワーバー系等片手で手軽に食べられるものがいいです。 しかしどうも長丁場(8時間+)後半になると食欲がどうしてもなくなりがちなので、 ゲータレードなどの水物の方がカロリー補給には向いてくるかもしれません。





高山日帰り用重装備

ヨセミテ渓谷の登山から戻ってきて、シエラはいいな、また行きたいな、 もっと高いところに行きたいな、と思ったならば いよいよ10,000+ フィート級の山へ行く 準備をはじめましょう。 私たちのお勧めはヨセミテ国立公園の東側料金所もしくは トゥオルメメドウ付近です。なんと言っても山へのアプローチが短く、10,000-13,000 フィート級の山が ごろごろしています。しかし状況・目標によっては ごくまれに、にわか雨、風、岩場、雪が進路を 妨げることがありますので、装備にはある程度気を配りましょう。 また多くの山には登山道、ケルン、ペンキの類がありませんので道は自分で探すか、 かすかに残るトレースをたどることになります。

クライミングジャケット(雨具)
シャスタで敗退してからというもの防寒、防水、防風具は夏でも 非常に大事であることに気がつきました。生まれて初めてゴアテックス物を使い そのすばらしさに大感激。出かくるときは忘れずに(旧)。下の方も忘れずに。
ピッケル(Ice Axe)
いつも必要というわけではないが、登る山によっては必需品。軽いというので アルミ製の物を買ったものの、氷には全く役にたたなかったので、それなりにごついやつがいいようです。
アイゼン(Crampons)
お粗末なピッケルテクニックをごまかしてくれるとはいえ、重い。 実は朝も10時になると雪はぐずぐずになり始めて、キックステップとピッケルだけ でもまず問題はなくなります。ただ、こうなると朝の出発を遅くしなけれはならないわけで、 今度は午後の雷にあたるリスクが増えます。雷の方が恐いので、私らは無理してでも持っていきます。
懐中電灯
ある程度の大物を日帰りで登ろうとすると、どうしても夜中のうちに歩き出さなければなりません。 というわけで懐中電灯が必要になります。ウイット二ーでは3時間ほど、シャスタでは5時間ほど 使いました。最近でたLED製の物は軽くて長持ちするので、これから買うのならこちらが圧倒的にお勧めです。
登山靴
雪のあるところでは登山靴がないとかなり歩きづらいです。 ただアプローチが長いと、靴自体の重さがけっこうこたえるのが難点です。 ゴアテックス製とあるものも出ていますが、汗で中が蒸れるので結局あんまり意味がないような…。 最近原色の登山靴が出回ってますが、一度履けばドドメ色になってしまうと思うと、 買う価値があるのか、はなはだ疑問であります。
トレッキングポール
はじめは物珍しさもあってよく使いましたが、結局それは脚力不足を補うためのようで、 十分トレーニングしている人なら必要ないと思います。ただし、ガレ場では足元が安定するので重宝します。 中にスプリングが入って、衝撃を吸収するタイプのポールもありますが、 ふにゃふにゃして頼りなく感じるだけなので、アイデア倒れではないかと。 超軽量のチタン製の高級品は使ってみたいです。
パック
これだけ物を持つと低山用に買ったパックでは入りきらなくなるので、より大型のパックが必要になります。 3,000〜4,000キュービックインチ程度のもので、一泊の山行まではこなせる筈です。 パックの外側にアイゼンやピッケルなどのツールをつけられるやつが便利。
しかしなんといっても、ほとんど空身でぱぱっと登ってさささと下ってくるのが 個人的には一番好きです。




泊りがけ山行用追加装備

どーしても登りたい山がある。しかしアプローチが長くて 日帰り強行軍でも届かないときはどうする? そう、あとはテントを担ぐしかありません。 というわけで以下はそのための主なお道具のご紹介。 ところで、シエラでテント泊をする場合は許可証が必要です。 管轄のレインジャーステーションにいき 取得します。 以下の リンクを参考にしてください

ヨセミテ国立公園
インヨーナショナルフォーレスト
テント
何はなくともテントが必要です。私らはN社のアウトレットセールで この3シーズン用テントを買いましたが、さすがアウトレットだけあり、たてつけがよろしくない (最も性能に問題はありません)。二人用で約5ポンド強の重さです。 フライが完全にテントを被うので、雨、風にも安心して過ごせます。
熊缶とクッキング道具
シエラ登山で最もユニークで忌み嫌われるものはこの強化プラスチック製の熊缶です。 なんせ登山者の持つ食べ物の味をしめた熊が夜、食料を奪いにきますので、 テント内に食べ物をおくのは厳禁。この熊缶に入れてテントから離れた ところに置いておきます。熊がもし来ても缶を開けることが100%不可能に作られているので、 そのうちあきらめて帰るという仕掛けです。 たまにヤケになったヤツが川に放りこんでしまうというアクシデントがあるという噂もありますが。 特にヨセミテ渓谷等の人気があるトレイルでの熊の被害は最近目立っています。 ところでこの缶はとてもパッキングしづらいしろものです。
REI には最近きわめて軽いガスコンロ、鍋が出てきました。 とくに日本製の(エバニュー)チタン製鍋が目を引きますが、高いので私らはひたすら安い ものを使っています。
パック
つい前のページで3,000-4,000キュービックインチあればテント泊でもOKといったばかりですが 実は私は大容量のパックを使います。なぜなら
★ほとんどの重い物は私一人で持つので肩、背中にやさしい物がよい
★へたなパッキングでも大きいと苦労せず詰められる
からです。これはほぼ6,000キュービックインチのパック。
寝袋とマット
寝袋は華氏20度もので快適に10,000フィート強の高度で寝られます。マットは安くて軽くて壊れない ウレタン製を半分に切って、首から腰のあたりかけてにあたるように使っています。
蒸水器
まだ試したことはありませんが、生水は飲むなというのがシエラの常識です。 一泊ともなると、使う分の水をすべて持っていくわけにはいかないので、これに頼ることになります。



ご注意:これらはあくまで限られた経験に基づく私見です。実際の登山にあたっては 各自の実力、経験、体力に合わせた装備をそろえて登ってください。